◆ESD研究会in富山 報告
日時:平成30年1月5日(金)14:00~16:30
場所:富山市立堀川小学校
参加者:52名(教員 47名 他5名)
北陸での主に教員を対象にしたESD研究会。3つの授業実践の紹介をし、金沢大学の松本謙一先生のコーディネーションで、スモールグループに分かれて教員が学びあいました。
1つ目は、金沢市立兼六小学校の田中哲也先生から「社会と子どもをつなぐ授業づくり~自分事として動き出すESD」をテーマに2つの授業実践の紹介をいただきました。田中先生は以前いらした小学校でEPO中部が実施した環境省のESD事業にも参画いただいたこともあり、その際地域のステークホルダーとともに作り上げた「川」をテーマにした授業、今の小学校で取り組んでいる名古屋市内の小学校との交流授業を実施し、児童の変容について語られました。いかに「子どもの~したい」という授業のカリキュラムマネジメントをするか、が教員には必要だと話されました。
そして、スモールグループでのディスカッション。先生たちは自分の授業と比較しつつ、田中先生の授業について語り合います。
もう一つの実践は、「ESDの観点からみた主体的・対話的で深い学び」をテーマにした、富山県の舟橋村にある舟橋村立舟橋小学校、尾島良幸先生の、なんと3年間にわたる授業です。舟橋小学校では、学級数、児童数が少なく、原則学年の持ち上がりはないそうなのですが、尾島先生は小学4年生から6年生まで担任をされました。3年間の取組のキーワードは、「身近な教材」「教師がゴールを決めない」、そして大切な言葉「~さんの気持ち、分かったかい?」です。それは、まさに主体的、対話的な学びです。先生は熱く語ります。
「先生は行政や地域に働きかけて自然保護活動をしようとするが、それは本当に子どもが望むことなのだろうか。それが一番大切なことなのか」と問われたこと、など。そして先生の授業は「子どもたちにゆだねる授業」へと変わっていきました。そしてこれは、持ち上がりが可能であったからできたことである、とも話されます。学びの連続性により子どもの学びが深まったことを子どもも教員も感じることができました。「みんなどうするかい?」という問いかけに、「やるのはぼくたちでしょう」と。
このあとも、スモールグループにてディスカッション。どうしたらこんな授業ができるのか、先生方の質問、意見がどんどん出されていきます。
最後に、松本先生から、教員の皆さんへのエールと、「新学習指導要領とESD」と題したミニレクチャー。新学習指導要領の説明、そして、大切なことは「生きる力」であり、「子どもを丸ごとみること」、「子どもの立場から考えること」、そして何より、「教員が子どもの育ちを楽しむこと」を話されました。子どもが輝く、わくわくする、ドキドキする授業、それこそがESD授業。
教員のみなさん、参加したNPO、大学関係の方々の大きなうなづきとともに、研究会を終えることが出来ました。
<プログラム>
- 授業研究 「小学校の授業を教材にして」
ゲスト:田中 哲也先生(金沢市立兼六小学校)
尾島 良幸先生(舟橋村立舟橋小学校)
- 講義「新学習指導要領とESD」
講師:松本 謙一先生(金沢大学人間社会研究域学校教育系教職実践研究科教授)