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2017.08.28 取材レポート 

四日市公害と環境未来館(三重県)で教員対象のESD研修が行われました

 子どもたちは夏休み。しかし教員は、研修や2学期の準備などで大忙しです。そんななか、三重県四日市市では四日市公害と環境未来館主催のESD教員研修が行われました。
 この研修は市内の全小中学校でESDカレンダーを作成、活用するために実施するもので、四日市市教育委員会、環境教育ネクストステップ研究会(市民団体)との協働で行っています。2年目となる今年度は、愛知県内でESDを実践している学校の取組事例を学び、昨年作成したESDカレンダーのブラッシュアップをワークショップ形式で行いました。2日間行われ、1日目は小学校の教員、2日目は中学校の教員が対象でした。
 今回、中部地方ESD活動支援センターでは、講師紹介の依頼を受け、愛知県内のESD実践校から2名の教員の方を紹介しました。研修の様子を報告します。
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◆教職員研修 環境教育1 ESD講座(小学校)
ESDの再確認とESDカレンダーのブラッシュアップ
日時:平成29年7月27日(木) 13:30~16:30
場所:四日市公害と環境未来館 講座室
講師:鈴木宏道先生(豊橋市立岩西小学校 校長)
参加者:四日市内小学校教員 39名(全小学校から1名以上)
主催:四日市公害と環境未来館
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 初めに教育委員会の生川恵美指導主事から研修の目的とESDの視点で行う環境教育について、ついで環境教育ネクストステップ研究会代表 寺田卓二氏からESDの再確認とESDカレンダーのチェックポイントについての話がありました。今年初めて参加の教員も多く、「ESDとは何か、なぜESDカレンダーが必要なのか」、「見直しはどこを注視しておこなうべきか、更にブラッシュアップするにはどうしたらよいのか」を図解とともに説明されました。
 次に、講師としてお招きした豊橋市立岩西小学校校長 鈴木宏道先生から実践事例の報告がありました。地域とのつながりが強い岩西小学校の特色を生かしたESD活動の紹介、ESDカレンダーの活用により外部講師や新しく赴任した教員にカリキュラムが直感的・視覚的に理解できること、カレンダー作成の際には各学年で育てたい力(全体目標)を相談し活動を通して目指す姿に育てていくこと、などの説明がされました。ESDを実践することで、教員自身も色々な人と関わり熱い思いを吸収し、ESDの取組やESDカレンダー更新に対する積極性が向上しているそうです。
 その後行われたワークショップでは、1班5~6人のグループに分かれ、一つの学校のESDカレンダーをグループ全員で見直す作業を行いました。初めは難航していましたが、色々な視点で見つめ直し、意見を交わす中で教科間の関連性を理解し、「全体をつなぐメインの流れ」を軸に新たなESDカレンダーをつくるグループもありました。
 研修後、教員のみなさんのESDカレンダー作成、ESD取組に対するやる気が高まり、「学校に持ち帰り、自分の学校のESDカレンダーのブラッシュアップをしていきたい」「現在行っている体験学習とESDを関連させていきたい」といった意見があり、学びや気づきのある有意義な時間となりました。

◆教職員研修 環境教育2 ESD講座(中学校)
ESDの再確認とESDカレンダーのブラッシュアップ
日時:平成29年7月28日(金) 13:30~16:30
場所:四日市公害と環境未来館 講座室
講師:内田裕斗先生(岡崎市立新香山中学校 教諭)
参加者:四日市内中学校教員 22名(全中学校から1名以上)
主催:四日市公害と環境未来館
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 昨日同様初めに生川指導主事と寺田氏からのお話があり、ついで岡崎市立新香山中学校 内田裕斗先生によるESD取組の紹介がありました。環境学習の推進を掲げている岡崎市には、岡崎市内の小中学校全校がスタンダードに取り組む「岡崎環境学習プログラム」があり、新香山中学校ではこのプログラムをベースに地域の実態に合わせて単元計画を作成しています。身近な体験から学びを発展させて考えを深め、自分の意見をもって話し合うことを重視し、子どもたちの自主性の高まりを実感しているという話がありました。課題として、「授業内容が代りばえしなくなってしまう」「修学旅行など他の体験学習ともっとリンクさせたい」などをあげ、ESDカレンダーを常に更新しつづける大切さについても触れられました。
 その後のワークショップでは、昨日同様にグループ内で一つの学校のESDカレンダーを素材にブラッシュアップを図りました。中学校では教員が専門教科のみを指導しているため、教科間のつながりや流れをつくる作業は非常に難航しました。しかし、学校の特色や生徒の様子から紐解いて内容を深め、他教科の教員同士で情報共有を行うことにより、教科間の連携、教員間の連携の大切さに気付かれ、その後の発表で「地域とのつながりが深い特色を生かしつつ、グローバルな視野をもって社会に目を向けられるようなカリキュラムをつくりたい」「子どもたち自身がESDカレンダーをつくったり、1年間の学びのまとめに“ESD宣言”を行ったりするなどESDとは何かを学ばせたい」など、個性豊かなESDカレンダーが提示されました。
 既存の授業内容や手法にESDが取り入れられていること、そこをより意識しつなげていけばよいことに気づいた教員は「子ども達が自主的に教科間のつながりを考えられるように、流れのベースを作ることが大切」「他教科の教員と情報共有できて良かった。同じように学校内でも話し合い、学年ごとのゴールを決めたい」「全体の流れが把握できるようになると、カレンダーを見ることが面白くなった」と、ESDカレンダーの活用や活用による効果を感じられた様子でした。
 ESDの大切さに気づかれた教員のみなさんの今後授業づくりに期待します。

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