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2017.12.21 事業報告 

ESD研究会(東海) 「ESD研究会~SDGsと企業」が行われました

◆東海地域ESD研究会「SDGsと企業」報告

 

日 時:平成29年12月1日(金) 14:00~17:00

会 場:錦パークビル11階会議室
参加者:29名
主 催:中部地方ESD活動支援センター

 

「SDGsとは何か?達成のために自社にできることは・・・」

 

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月に世界の国々の合意により策定されました。経済のグローバル化が引き起こした様々な課題を解決のための、持続可能な社会を実現するための重要な指針です。産業界では、今年11月に日本経済団体連合会が「企業行動憲章」にSDGsの理念を取り入れるように改定したことで、SDGsの取り組みの必要性が強くうたわれています。

 

研究会の1番の目的はSDGsを理解すること。そして自社の取組とSDGsの17の目標の関連性を見出すこと、です。主に企業を対象としましたが、参加いただいたNPO/NGO・自治体には企業が取り組みやすい環境をつくるために、また、企業のSDGsの取組の「SDGsアドバイザー」「SDGsコンサルタント」になるための情報提供を行いました。企業、商工会議所、NPO、教員、行政など様々なセクター、総勢29名の参加で開催しました。

 

住友理工㈱ CSR部長 戸成司朗氏による講義「SDGsと企業」では、「企業がなぜSDGsに取り組むのか」から始まり、「企業がどのようにSDGsを取組むことができるのか」「どのような目標を設定するのか」「社員にはどう伝えるのか」などについて話されました。

また、SDGsを組織内に定着させるために住友理工㈱では、SDGs勉強会の開催や時代に合わせたビジョンの見直しをトップダウンで行い、従業員には従業員自身で設定した身近な目標がSDGsの17の目標にどう関連するかを照らし合わせて「自分ごと」にできる目標を持つなどボトムアップで行い、経営層と現場の両面から取り組んでいます。

「社会が持続可能でなければ、自社も持続可能にはなりません。そして、社会から支持された企業のみが生き残ります。ぜひSDGsを通して未来を担う経営者になってほしい!」熱く語っていただきました。

 

次に、ユニー㈱の百瀬則子氏、井村屋㈱の堀川勉良氏から、自社の取組について紹介をしていただきました。

ユニー㈱のテーマは「食品リサイクルは命をつなぐ環」です。環境の取組のトップランナーとして小売業界から唯一「エコ・ファースト企業」として認定されたユニー㈱、SDGsの17の目標をもとに、食品を廃棄しない「地球にやさしいお買い物」を推進し、持続可能な社会を目指しています。
営業活動から発生する廃棄物の計量・分類、地元の農業生産者と協働して再生資源化する「食品リサイクルループ活動」、メーカー・卸売り・スーパーが協力して余剰在庫を持たない適正管理、消費者に対して賞味期限・消費期限の捉え方への理解を促す「食品ロスの削減活動」、地元の繊維メーカーの未使用素材を活用し若者がデザインし障がい者が生産する「リデザインプロジェクト」など、地元を巻き込んだ様々な環境保全につながる活動をしています。さらには、お客様に配布するチラシにSDGsのマークを付けることで、SDGsの実践の見える化も行っています。
百瀬氏は最後に語られます。
「ユニーの経営者、従業員、関係する人々も皆、自分達の時代はおいしい水を飲んできれいな海で過ごせるかもしれない。しかし10年後、100年後の子ども達にも同じようにおいしく水が飲めて、おいしい空気が吸えて、空が青い、そんな地球を残すために今やるべきことはSDGsです。色んなところにSDGsのマークがあると、全然知らなかった人も興味を持ってくれる、そこからだと思っています。」

続いて井村屋㈱からは、「もったいない、企業活動と地球温暖化防止」をテーマに紹介していただきました。

井村屋㈱では、製造過程で発生する食品廃棄物をたい肥にし、肉まんの原材料となる玉ねぎ畑に利用することや、人気商品「あずきバー」のボックス商品のCO2排出量を計算して、特に排出量が多い工程の「化粧箱のショートフラップ化」「バイオマスボイラーの導入」「新しい冷凍庫設備の導入」など、環境に配慮した多様な取り組み、改善を行っています。
堀川氏は「全ての活動は『エコロジカルはエコノミカル』の考え方。環境に優しいことは、経済にも優しいんです」とお話されました。
また、地元の敬老会との協働活動で、使用されなかったあずきを規定外の容器に入れたマラカスや、お手玉を作り、小学生や幼稚園児との交流の場に提供するほか、災害時に手早く美味しく食べられるように開発された保存食「えいようかん」に伝言ダイヤルの表示やパッケージに点字を使用するなど細やかな気遣いをするなど「商品こそ我が命、人こそ我が宝」を信条に、全ての人に優しい商品開発にも取り組んでいます。

また、当日参加いただいた㈱マルワの鳥原氏は、ユニー㈱のカレンダーに使用した紙であるバナナペーパーについてご紹介いただきました。バナナペーパーは日本で初めて紙業界でフェアトレード認証を取得し、SDGsの17の目標を全て兼ね備えた紙です。この紙のことを知ったマルワ株式会社では、「紙を媒介として商品にして販売している会社としてこれを使うしかない!」とバナナペーパーの推進を図るようになりました。これまで使っていた紙をバナナペーパーに変える、そんなちょっとしたことでSDGsを実践できることを実感していらっしゃいました。

 

その後、参加者が3つのグループに分かれて、各企業等でSDGsをどう浸透させていくか、本業や活動につなげていくかについて意見を交わしました。

各グループの報告から、「認知度がまだまだ低い。企業に浸透させるためには、経営者層の理解が必須である」といった課題が提示されたほか、「自分の仕事と17の目標との紐づけを社員みんなが出来るようにしたい。」「世代を超えた想いをどうつなげていくか」など本質に触れる意見も出されました。
また、「井村屋㈱の堀川氏が生産管理部長としてCSRを進めていることを知り、とても心強くなった。総務部でCSRを推進する立場にいるが、総務部とCSR推進室だけが頑張っても仕方ないと気付いた」といった意見もありました。今回の研究会を通して様々な立場の方が様々な気づきを得て、参加者一人ひとりが自分たちに出来ることを見つめ直す良い機会になったようです。

 

最後に三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱執行役員 加藤義人氏から、「3名のお話を伺い、信念をもって日々の行動に結びつけている姿がカッコいいと思いました。現在我々は『パラダイム・チェンジ(根本的転換)』、通念を変えることを社会に問われています。変化の為には、未来を担う子ども達への教育をじっくり進めると同時に、企業に大きなショックを与え、行動を改めさせることの両方が大切です。また、経営者が信念を持てるかどうか、SDGsを推進する人材がいるかどうかが、企業がSDGsを実践するかどうかの大きな分岐点です。まずはSDGsを知り、マークを付けてみること。そこで終わらず目標を作って達成するところまで繋げることで、今日から明日への変化が生まれます。」とのコメントをいただきました。

 

とても力強い言葉です。今後SDGsにどう取り組むか、私達が社会に試されているようです。

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